第二十二回日本伝統文化振興財団賞・第七回中島勝祐創作賞 贈呈式
日本伝統文化振興財団賞は、伝統文化の保存・振興・普及を目的とする当財団の顕彰事業の一環として設立された賞です。第二十二回の本年は、新内節の演奏家、新内多賀太夫(しんない たがたゆう)さんが受賞しました。
また、長唄三味線演奏家で数多くの舞踊曲を作曲した東音中島勝祐(とうおん なかじま かつすけ)氏の功績を記念した中島勝祐創作賞の第七回受賞作品には、鶴澤津賀寿(つるざわ つがじゅ)さんの「那須与一弓矢誉(なすのよいちゆみやのほまれ)」が選ばれました。
平成30年7月、東京の八芳園で行なわれた両賞の贈呈式と記念演奏会についてお伝えします。
文・写真:じゃぽマガジン編集部
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平成30年7月19日(木)午後5時から、東京・港区白金台の八芳園において第二十二回日本伝統文化振興財団賞および第七回中島勝祐創作賞の贈呈式が開催されました。
冒頭に当財団の藤本草理事長の挨拶があり、受賞者のお二人が紹介されました。
続いてご来賓の文化庁の山﨑秀保文化財部長が、宮田亮平文化庁長官からの祝辞を代読されました。
第二十二回日本伝統文化振興財団賞の選考経過と今回の贈賞理由について、選考委員を代表して織田紘二さんが披露され、加えて新内多賀太夫さんが最近の公演でも演奏とともに作曲でも活躍されている様子など紹介されました。
表彰を受けた後、新内多賀太夫さんは受賞の挨拶を延べ、他の分野での作曲の折にも、新内節の良さを意識していると結びました。
続いて第七回中島勝祐創作賞の贈呈に移り、審査委員の久保田敏子さんから審査の経緯と受賞作「那須与一弓矢誉」について紹介があり、作曲者の鶴澤津賀寿さんが表彰を受けました。
鶴澤津賀寿さんは第四回日本伝統文化振興財団賞(受賞当時の名称は「ビクター伝統文化振興財団賞『奨励賞』」)の受賞者でもあり、受賞の挨拶で、久しぶりに当財団に縁のある賞を受けた喜びなど語りました。
会場には、中島勝祐先生のお写真も飾られ、贈呈式の様子を見守っていらっしゃるようでした。
これで贈呈式は閉じられ、それぞれの受賞者の記念演奏に移りました。
まず、日本伝統文化振興財団賞受賞者の新内多賀太夫さんが、新内節の名曲「蘭蝶」から「四ッ谷」の一節を演奏されました。三味線は、師であり父でもある人間国宝の新内仲三郎さんです。
次に鶴澤津賀寿さんの受賞作「那須与一弓矢誉」が、こちらも人間国宝の竹本駒之助さんの浄瑠璃、津賀寿さん自身の義太夫三味線で演奏されました。「平家物語」の「扇の的」に題材をとった新作です。
なお、藤本理事長が挨拶のなかで、直前に西日本を襲った豪雨の被災地への支援を呼びかけました。来場された方々から合計2万円の義援金をお預かりし、後日日本赤十字社に託しましたことをご報告いたします。
受賞記念演奏 プログラム
第二十二回 日本伝統文化振興財団賞
記念演奏 新内節「若木仇名草 蘭蝶 四ツ谷」
浄瑠璃 新内 多賀太夫(受賞者)
三味線 新内 仲三郎(人間国宝)
上調子 鶴賀 喜代寿郎
第七回 中島勝祐創作賞
受賞作品「那須与一弓矢誉」(鶴澤 津賀寿 作曲 村 尚也 作詞)
浄瑠璃 竹本 駒之助(人間国宝)、竹本 越孝
三味線 鶴澤 津賀寿(受賞者)、鶴澤 賀寿
鳴 物 望月 太意三郎
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(記事公開日:2018年09月20日)