おもだか秋子 民謡(うた)の道 出版記念リサイタル
2012年1月 7日(土)開催
(富士見市民文化会館・キラリ☆ふじみ メインホール)
姓の表記を漢字の「澤瀉」から「おもだか」とあらためて心機一転、2011年11月ソロ・アルバム第3弾『民謡(うた)の道』(CD、カセット)を発表したおもだか秋子さん(「民謡」と書いて「うた」と読みます)。17歳でプロデビューし今年10周年を迎えたおもだかさんのアルバム出版記念リサイタルが、全国から豪華なゲストを迎え、盛大に行なわれました。新春にふさわしい華やかなリサイタルの模様をじゃぽ音っと編集部がお伝えします。
集大成であり、今後の飛躍を予感させるリサイタル
文:じゃぽ音っと編集部
くっきりとした日本晴れになった新春の2012年1月7日。埼玉県にある富士見市民文化会館・キラリ☆ふじみメインホールには1時間前から開場を待つ観客の長い列が続き、おもだか秋子さんのリサイタルが早く始まらないかという熱気に溢れていた。今回のリサイタルは二部構成。豪華なゲスト出演者にも期待が膨らむ。
開始を告げる司会の声に、尺八の音色が会場にしみわたるように広がり、最新アルバム『民謡(うた)の道』収録曲「泣き坂追分」が始まる。信州信濃国にある追分のせつない情景を細やかにしっとりと、つづく「秋田小原節」の芯が強くのびやかな声に圧倒される。「ふるさとの唄〜現地直送〜」のコーナーでは、隠岐の島 五箇民謡振興会のみなさん、秋田で修行された浅野意玖子さん、茨城から谷本恵美子さん、猛吹雪の山形から髙橋兼一さん、仙台からは歌手活動50周年の荒昇吾さんが登場。このおもだかさんに縁の深い出演者により、各地のふるさとの便りを聞いてホッとするような、温かい雰囲気のステージが繰り広げられた。新世代の民謡ユニット・郷みん’S(きょうみんず)は、おもだか秋子さんの唄・太鼓に津軽三味線の椿正範さん、踊りに松浦奏貴さん。さらに今回は尺八の名手・米谷和修さんが加わり、「黒田武士」でスタート。郷みん’Sのメンバー各自の実力は若手とはいえすでに切れ味鋭い一級品で、なおかつ結成から4年を経た三人の息はぴったり。その相乗効果で賑やかな「牛深ハイヤ節」は絶好調、つづく津軽民謡の三曲で元気溌剌に締めくくった。
●第一部 縁
第二部冒頭の「三弦〜音遊び〜」は、おもだかさんの多彩な才能のひとつである三弦にスポットを当てる。南国沖縄の三線(さんしん)、江戸のお座敷唄で細棹三味線、北国の勇壮な津軽三味線と三種類の三弦を自在に操り、唄と三味線で日本を南から北へと旅していくかのよう。つづいて唄・津軽三味線の澤田勝秋さん、唄・太鼓の木津茂理さんによる民謡ユニット、つるとかめが登場(当財団からCD発売中)。澤田勝女の名を持つおもだかさんの師匠として「このままずっとのびていって」という澤田勝秋さんの心温まるメッセージを交え、華やかな太鼓と津軽三味線、二人の唄がこだまし、会場は大いに沸く。おもだかさんの母、多田隆章次さんの優しくたおやかな唄に、おもだかさんがしとやかに踊を、弟の澤瀉誠さんが尺八で加わった「宇和島さんさ」が披露される一幕があり、おもだかさん第一の師匠、郷土民謡隆章派宗家の柴田隆章さんの奥行きと深みのある歌唱を含むステージにすっかり見入り聴き入り、終演後は割れんばかりの拍手。リサイタルのしめくくりにおもだか秋子さん『民謡(うた)の道』より「喜代節」と「宮城長持唄」。さらにつるとかめの二人と郷みん’Sの三人、この二つの強力ユニットによる大迫力の「津軽三下り」共演というサプライズまで飛び出し、会場は沸きに沸いた。
〈第二部 匠〉につづきます。
(記事公開日:2012年01月07日)