第二十三回日本伝統文化振興財団賞・第八回中島勝祐創作賞 贈呈式

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「日本伝統文化振興財団賞」は、伝統文化の保存・振興・普及を目的とする当財団の顕彰事業の一環として設立された賞です。第二十三回の本年は、山田流箏曲の演奏家、萩岡松柯(はぎおかしょうか)さんが受賞しました。

また、長唄三味線演奏家で数多くの舞踊曲を作曲した東音中島勝祐(とうおん なかじま かつすけ)氏の功績を記念した中島勝祐創作賞の第八回受賞作品には、東音高橋智久(とうおん たかはし ともひさ)さんの「狐狸廓化競(こりさとのばけくらべ)」が選ばれました。

令和元年7月、東京・千代田区の紀尾井小ホールで行なわれた両賞の贈呈式と記念演奏会についてお伝えします。

文・写真 じゃぽマガジン編集部

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 第二十三回 日本伝統文化振興財団賞

 第八回 中島勝祐創作賞


藤本理事長

令和元(2019)年7月1日(月)、第二十三回日本伝統文化振興財団賞と第八回中島勝祐創作賞の贈呈式が、東京都千代田区の紀尾井小ホールで開催されました。

初めに当財団の藤本草理事長の挨拶があり、受賞の萩岡松柯さんと東音高橋智久さんが紹介されました。

来賓を代表して文化庁の平山直子文化財第一課長が祝辞を述べ、受賞者お二人のさらなる活躍を祈念されました。


平山直子文化庁文化財第一課長

続いて、当財団設立基金元、株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントの斉藤正明代表取締役社長から寄せられたメッセージが紹介されました。

第二十三回日本伝統文化振興財団賞の表彰に先立ち、選考委員の田中英機さんが選考経過を披露しました。

表彰を受けた萩岡松柯さんに、第五回日本伝統文化振興財団賞受賞者で、同じ山田流箏曲の演奏家、山登松和(やまと しょうわ)さんからお祝いの花束が贈呈されました。

萩岡さんは受賞のご挨拶として、芸名を改名した大きな節目の年に受賞したことに触れ、これを機にますます精進したいと話されました。



次に第八回中島勝祐創作賞について審査委員の久保田敏子さんから、ジャンルも編成も異なる9作品の応募があったこと、受賞作品が中島勝祐師の作品にも通じる仕掛けの面白さがあったことなど紹介されました。

表彰に続いて、中島勝祐記念会代表の中島久子さんから目録が、昨年受賞者の鶴澤津賀寿さんから花束が贈呈されました。東音高橋智久さんは、師である菊岡裕晃、中島勝祐両師の勧めで創作を始めたが、それが結果的に古典の勉強にもなったことなどお話されました。


贈呈式の後、休憩をはさんで両受賞者の記念演奏が披露されました。

萩岡松柯さんは山田検校作曲の大曲「熊野(ゆや)」の箏を、師であり、父である萩岡松韻さんとともに演奏しました。時間の都合により一部割愛されましたが、財団賞副賞のDVD(本年10月発売予定)には全曲が収録されますので、その高い技量が評価された演奏をぜひお聴きいただきたいと思います。


東音高橋智久さんは自らの三味線で、受賞作品「狐狸廓化競」を披露しました。鳴物が効果的に使われ、途中で音色の違う三味線に持ち替えるなど、変化に富んだ楽しい長唄です。こちらはCDの発売が予定されています。


今後のお二人の、ますますのご活躍を願います。


受賞記念演奏 プログラム

第二十三回 日本伝統文化振興財団賞

記念演奏 山田流箏曲「熊野(ゆや)」

箏  萩岡松柯
   萩岡松韻

三弦 鈴木厚一

笛  福原徹彦

第八回 中島勝祐創作賞 

受賞作品 「狐狸廓化競(こりさとのばけくらべ)」

(かず はじめ 作詞 東音高橋智久 作曲)

唄   東音 西垣和彦
    東音 谷口之彦
    東音 小島英裕

三味線 東音 高橋智久
    東音 山口 聡
    東音 簑田弘大

打ち物 望月 左喜十郎
    梅屋 喜三郎
    住田 福十郎

笛   福原 百七


(記事公開日:2019年08月26日)