第二十一回日本伝統文化振興財団賞・第六回中島勝祐創作賞 贈呈式
文:じゃぽマガジン編集部
写真:ヒダキトモコ
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第二十一回 日本伝統文化振興財団賞
第六回 中島勝祐創作賞
平成29年6月1日(木)、東京・四谷の紀尾井小ホールにおいて第二十一回日本伝統文化振興財団賞および第六回中島勝祐創作賞の贈呈式が開催されました。
開会の辞に続いて当財団の藤本草理事長の挨拶があり、受賞者のお二人が紹介されました。
来賓の文化庁、熊本達哉文化戦略官からは「お二人にはこの受賞を機にますます芸を高められ、いっそうの活躍を期待する」との祝辞が寄せられました。
第二十一回日本伝統文化振興財団賞の選考委員を代表して田中英機さんから、選考経過と菊央雄司さんへの贈賞理由が紹介されました。大阪に軸足をおいた地歌箏曲演奏家としての高い評価、胡弓での活躍に加え、伝承者が極めて少ない平家(平曲)に取り組んでいることも認められたと語り、将来に向けてますますの活躍を期待すると締めくくられました。
賞状と目録贈呈に続いて、前回の受賞者である地歌箏曲・胡弓演奏家の川瀬露秋さんから菊央さんに花束が贈られました。
菊央さんは受賞の挨拶として、「大阪の芸を、誇りをもって継承していくことの大切さを改めて感じている」と今後の決意を述べ、平家を勉強しているのは次の世代につなげるためとの思いも語りました。
続いて第六回中島勝祐創作賞の贈呈に移り、審査委員の久保田敏子さんから受賞作「宝船売り」について、「常磐津らしい洒脱さをもって、歌詞のいいところを活かしている」との講評がありました。
前回受賞の若獅子会の代表、福原百之助さんから花束を贈られた常磐津東蔵さんは、大阪での修業時代に常磐津を一緒に学んだ中島勝祐氏との思い出や、「宝船売り」を作曲した経緯などを披露しました。
最後に、当財団設立基金元、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントの斉藤正明社長から寄せられた挨拶文が紹介されて、贈呈式が閉じられました。
休憩をはさんで、両賞の受賞記念演奏に移りました。
菊央雄司さんは、地歌の端歌物「江戸土産(えどみやげ)」を歌と三弦(三味線)で演奏しました。プログラムの解説には文化10(1813)年に大坂の中の芝居で上演された七変化舞踊「慣ちょっと七化(みなろうてちょっとななばけ)」にちなんだ曲とあり、上方を代表する地歌に、来場者は耳を傾けていました。
次に、中島勝祐創作賞受賞作品「宝船売り」が披露されました。常磐津東蔵さんがタテ三味線をつとめ、浄瑠璃、三味線に蔭囃子が加わって、会場はお正月のおめでたい楽しい気分にあふれました。
ロビーには当財団の顕彰事業や最近の活動を紹介するCD、DVDなどが展示され、中島勝祐師のお写真も飾られました。
また、今年没後20年となるビクター専属演奏家、市丸さん(1906~1997)のコーナーも設けられ、来場の皆さんの関心を呼んでいました。
受賞記念演奏 プログラム
第二十一回 日本伝統文化振興財団賞 受賞者 菊央 雄司
記念演奏 地歌「江戸土産(えどみやげ)」
歌・三弦 菊央雄司
第六回 中島勝祐創作賞 受賞作品 「宝船売り」
記念演奏 「宝船売り」 (常磐津東蔵 作曲)
浄瑠璃 常磐津和英太夫 常磐津松希太夫 常磐津千寿太夫
三味線 常磐津東蔵 岸澤式松
上調子 常磐津文字絵
囃 子 望月太意三郎 住田長祐 望月美沙輔
(記事公開日:2017年07月27日)