皆さんが作る「恋のうた」結果発表!
ハガキ、インターネットの部
〈最優秀歌〉
〈優秀歌〉
〈佳作〉
〈入選〉
さっきまできっとあなたが踏んでいた
砂粒愛しく踏む散歩道
マリ
【選評】
「砂粒」というぬくもりの移りにくいものにさえも愛情を感じてしまう真っ直ぐな恋心
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あなたの手触れた私の指先の
マニキュアをまだ落としたくない
白井かなこ
【選評】
「あなた」が触れてからしばらくたって、塗りなおさなければいけないけれど、少しでも残しておきたいせつない片思い
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いつになったらこちらを向いてくれるだろう
夢の中しか笑わぬ君は
田島聖大
【選評】
百人一首の歌も「夢」は大事なモチーフ。夢でしか笑ってくれない人との現実での距離を思う
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フルスイングはボテボテのゴロぎりぎりの
ファースト(キスへ)駆け抜けろ俺
たた
【選評】
恋のうたなのに野球の描写から始まって……、キスへと駆け抜けてゆく勢いのある一首
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正しさを君は説くそのくちびるを
人差し指で撫でてあげたい
藤かづえ
【選評】
与謝野晶子の「さびしからずや道を説く君」の歌のように、たくさんの言葉よりも多くを伝える人差し指のわずかな動き
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ただ名前呼んでいたくて呼んでいる
理由づくりに苦労している
篠田くらげ
【選評】
一生懸命、用事を考えて、いとしい名前を呼ぶために、振り向いてもらって、少しでも会話をするために
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二人きりは喉が渇くなトイレにて
色つきリップ二往復する
佐倉まり子
【選評】
ふいに二人きりで食事をすることになった夜。緊張して乾く唇を何度も直して、鏡を見つめる
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天野 慶(あまの けい)
歌人。「短歌人」会同人。NHKラジオ「ケータイ短歌」出演や、朝日小学生新聞「うたうことのは百人一首」連載。『ちはやふる』(末次由紀/講談社)93首・95首に短歌を提供するなど幅広いジャンルで活動。主な著作に『ウタノタネ』(ポプラ社)、絵本『だめだめママだめ!』(絵・はまのゆか/ほるぷ出版)など。
(撮影:羽金知美)
監修:吉海直人(時雨殿館長)
協力:時雨殿(http://www.shigureden.or.jp )
(記事公開日:2014年02月28日)