第十六回日本伝統文化振興財団賞贈呈式/第一回中島勝祐創作賞 贈呈式

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2012年6月 5日(火)開催
(東京・紀尾井ホール)

伝統芸能の未来を担う実演家を毎年1名顕彰する日本伝統文化振興財団賞は、今年で第16回目を迎えました。第16回日本伝統文化振興財団賞は、清元栄吉氏《清元節 三味線方》が受賞されました。また本年度より新たに中島勝祐(かつすけ)創作賞が創設され、第一回目の受賞作品は清元紫葉(きよもと・しよう)氏作曲の『清元新作「山姥」―夕月浮世語―』(「やまんば」―ゆうづきうきよがたり―)に決定しました。この二つの賞の贈呈式の模様をじゃぽ音っと編集部がレポートいたします。

今年からは中島勝祐創作賞が併設、清元節の両名が受賞

文:じゃぽ音っと編集部

今年の第十六回日本伝統文化振興財団賞は、昨年の東日本大震災チャリティ公演「伝統芸能の夕べ」として開催した第十五回につづき、東京・紀尾井ホールでの開催となりました。「かけがえのない伝統文化を未来に遺すために、このひたすらな思いが大きく広がり、常に自然と共にある我々すべての生きる力となりますことを心から祈念してご挨拶といたします」と藤本草理事長。続いて文化庁文化財部文化財鑑査官の大和智氏、衆議院議員小宮山泰子氏、衆議院議員斉藤鉄夫氏といった、文化行政に縁の深い来賓の祝辞が寄せられました。

財団賞選考経緯紹介では列席した選考委員を代表し、山川直治氏が「清元栄吉さんの〈触草~クサニフレレバ〉には芸大作曲科時代からの模索もあったのでしょう、汎アジア的な楽想で各楽器をよくとらえて表現していると思います。今後も活躍の場を広げられ、演奏・作曲の両面で表現を深められていくことを期待しています」とお話されました。

贈呈式で受賞された清元栄吉さんは「大学の作曲科を卒業したときにはこの世の中をどうやって生きていくか、邦楽界のことをまったく知らない私を清元榮三郎師匠が本当に親のように育ててくださいました。また流儀の末席に加えてくださり、ずっと育んでくださったお家元の清元延寿太夫様、また今藤政太郎様をはじめ『創邦21』のお仲間があって、ずっと創作活動を続けることができたと思います。数えきれない師匠先生方にお世話になり、おかげで今がございまして、これからいっそう努めたい」とお話され、会場に拍手が鳴り響きました。

次に本年度より創設された中島勝祐創作賞の贈呈式。

審査委員を代表した久保田敏子氏は「つねづね中島先生がおっしゃっていたのは、古典も大事だけれど創作もとても大事なんだよ、若い人たちの創作意欲をどうしたら掻き立てられるかとおっしゃって、僭越ながらなんとか援助したいんだと相談を持ちかけられました」と賞創設についてのお話をされ、「審査員には作曲者作詞者はもちろん演奏者の名前さえも伏せ、音だけを真剣に聴き、感想を持ち寄り、最終的に採点で一番上位を得られたのが清元紫葉さんでいらっしゃいました。どこがよかったかと申しますと、中島勝祐さんがお元気だったらきっとこんなふうな感じの曲をおすすめになるだろうという、そういう雰囲気を十二分にもった曲でとても落ち着いたいい演奏であり、素晴らしい曲でありました」と選考理由を披露していただきました。

受賞された清元紫葉さんは「『山姥』は平成13年に若柳妙之助先生のご依頼で作らせていただいた曲です。お能に造詣の深い長田午狂先生の作詞で、従来の山姥と違って孤独な山姥像でして、曲調は古典にのっとったものですけれど、お囃子をはじめ、助演の方々の演奏が素晴らしく、今回もみなさまのお力を借りて、山姥の世界観を描く演奏ができたらとベストを尽くしたい」と語り、「中島先生とは舞踊界でご一緒させていただき、ジャンルは違いますがよくお声をかけてくださり、私の作曲したものを聴いてくださった折には感想やアドバイスをくださり、それが身に沁みる思いでした。今回もきっと中島先生が天国から『もっとがんばりなさいよ』とエールを送ってくださった気がしています。今回財団賞の清元栄吉さんは高輪派で、私は清元派と二派ございまして、一昨年両家元の88年ぶりの演奏会をきっかけに、新体制の清元協会の第一回演奏会が今年8月に決まっておりまして、さらに清元節の創設200年、そういった折に栄吉さんと二人で受賞できたこと、本当にうれしく思っています」と締めくくって、観客からの大きな拍手となりました。

撮影:後藤真樹、じゃぽ音っと編集部(印)

(記事公開日:2012年06月05日)