夏休み邦楽チャレンジ〜箏を弾いてみよう!KOTOで弾く日本の歌〜

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2008年8月10日(日)開催 (28’s GINZA)

子供たちが学校外でさまざまなチャレンジができる夏休み。伝統音楽の普及を事業のひとつに掲げる日本伝統文化振興財団では、「夏休み邦楽チャレンジ」と題し、箏の楽しい体験教室を行ないました。その様子をレポートします。

箏の体験教室「夏休み邦楽チャレンジ」

文:じゃぽ音っと編集部

加藤美枝先生
加藤美枝先生

普段はあまり触れる機会のない邦楽の世界。伝統音楽の普及を事業のひとつとして掲げている日本伝統文化振興財団では、”Healing KOTO〜KOTOで聴く”CDシリーズ箏奏者の加藤美枝氏を迎え、「夏休み邦楽チャレンジ」と題し、小学4年生から中学3年生を対象に、箏の体験教室を行なった。


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デモンストレーション演奏
デモンストレーション演奏

盛夏の28’s GINZA(新橋ビクタービルB1)に集まった子供たちは、普段見慣れない箏を前にちょっと緊張気味。まず最初に、加藤先生がデモンストレーション演奏を聴かせてくれる。
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縦譜にあわせて「キラキラ星」の合奏

手のかまえを練習
手のかまえを練習

集まった子供たちは総勢6名。加藤先生は一人一人に名前を尋ねていく。それで子供たちは気持ちがほぐれたのか、先生との距離が近づき、リラックスした雰囲気になっていく。まずは楽器の説明。箏は龍に見立てて名づけられているところ(龍頭〈りゅうず〉、龍角〈りゅうかく〉、龍尾〈りゅうび〉など)が多いというお話ののち、実際に箏を触ってみようということで先生が構え方(箏に対する身体の置き方、手のかまえ、指の位置など)をレクチャーし、参加者全員で音を出してみる。

今回の箏の調弦は、いわゆるドレミファソラシドの音階にあわせたもの。箏の弦(一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、斗、為、巾の順番)を縦書き譜(縦譜)にあわせて弾くと、おなじみの「キラキラ星」が弾ける。先生の掛け声にあわせてリズムをとりながら、やがて「キラキラ星」の合奏ができ上がった。

子供たちにとっての素晴らしい体験

休憩中も熱心に箏を弾くなど、音を出す楽しさに夢中になる子供たち。すっかり箏に魅せられたようだ。今度は調弦を少し変え、文化庁の「親子で歌いつごう日本の歌百選」にも選ばれた「故郷」「世界に一つだけの花」にチャレンジ。

ゆっくりとしたリズムの「故郷」の合奏に慣れてきたところで、先生が自作したカラオケを伴奏に「世界に一つだけの花」へ。メロディの刻み方が少し難しいものの、子供たちにはお馴染みだった(知っていると全員手を挙げていたほど)からか、すんなりと曲に入っていけたようだ。いくつかのパートに分けて練習しながら、サビのところまで進み、全員が曲を合奏できるようになっていた。たった2時間半というなかでの子供たちの吸収の早さに、加藤先生も驚いていた。

さらに先生は、江戸時代に八橋検校(やつはしけんぎょう)が作ったといわれる調弦法「平調子〈ひらぢょうし〉」の話に触れ、実際にその調弦での曲も披露してくれた。その優雅な調べは、きっと子供たちの心に残ったことだろう。

貴重な箏の体験教室。子供たちにとって、夏休みの素晴らしい体験となったに違いない。

(記事公開日:2008年08月10日)