郷みん’Sコンサート「真(しん)〜うたまいルネッサンス〜」

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2013年11月9日
西新井文化ホール(ギャラクシティ)

2013年9月セカンド・アルバム『真(しん)〜うたまいルネッサンス〜』を発表した3人の若き民謡グループ、郷みん’S(きょうみんず)。同名のコンサート『真(しん)〜うたまいルネッサンス〜』が11月西新井文化ホール(ギャラクシティ)で行なわれました。「真心を込めて本物の民謡を奏でる」という決意と、東日本大震災からの復興や再生の願いが込められたコンサート。スペシャルゲストとして尺八と笛で米谷和修さんが加わっての、郷みん’Sの熱気あふれるステージの模様をお伝えします。

デビューから6年、充実ぶりに目を見張るステージ

文:じゃぽマガジン編集部

 西新井文化ホール(ギャラクシティ)で開催された郷みん’Sコンサート『真(しん)〜うたまいルネッサンス〜』には開場前から詰めかけた観客の方々が列をなし、会場は大盛況となりました。三人のメンバーから「揺らぐことのない決意と共に、民謡道を歩んで行く」という決意のコメントが会場内に響きわたると、三人がステージに現れ「津軽三下り」が始まります。椿正範さんの切れ味鋭い津軽三味線の音、おもだか秋子さんのキリッと引き締まった唄と太鼓、傘と扇子を巧みに操り、しなやかに動く松浦奏貴さんの舞踊。三者三様の動きが調和し、ステージに映えます。

 続いて米谷和修さんの尺八が加わり「蝦夷富士の唄」。「東日本大震災からの復興、日本再生を願い、うたまいに真心を込めて、日本全体に発信します」とメンバー三人のコメントに、北海道民謡の「道南口説(どうなんくどき)」、新潟県民謡の「佐渡おけさ〜ぞめき〜選鉱場おけさ」が続き、ご来場の御礼のMC。「“真”という文字は…実は三人が書いたんです」「一番上の“十”は奏貴くんで、“目”が私(椿さん)です。下の“一書いて八”を書いたのが秋子さんなんです」と三人の手による文字“真”についての話には観客から共感の拍手が広がります。

 セカンド・アルバム収録の熊本県民謡「おてもやん」〜山口県民謡「男なら」に福岡県民謡「久留米のそろばん踊り」のメドレーを皮切りに、全国各地の民謡が次々に披露されます。「大洗甚句〔磯節入り〕」に続いて「津軽じょんから節(曲弾き)」では椿正範さんの独壇場。鮮やかな凧の絵を背景に津軽三味線のダイナミックな音響がこだまします。ここまでの「第一部〜まい〜」の最後は「酒は飲め飲め〜」でおなじみの「黒田武士(吟詠・浪曲入り)」は、米谷和修さんの枯淡たっぷりの尺八が加わり、重厚で格調の高い仕上がりとなりました。

「第二部〜うた〜」の始まりは、緞帳の前に三人が自分たちで楽器を運んでくるところから。群馬県民謡「八木節」に郷みん’Sメンバーそれぞれの想いをのせた“郷みん’Sバージョン”は楽しく賑やかで、笛や太鼓は祭囃子を思い出します。東京都民謡「神津節」は心洗われるような、おだやかな潮の匂いを運んでくれます。

 秋子さんの美しいハイトーンが印象的な「竹田の子守唄」は、椿さんとの唄の掛け合いに奏貴さんの鳴り物という編成。セカンド・アルバム収録の「ヤマタノオロチ(八岐大蛇)〜真バージョン〜」は唄なしのインストゥルメンタル。秋子さんと椿さん二挺の津軽三味線と力強い奏貴さんの和太鼓。緩急自在の和太鼓のソロ・パートののち、三味線との掛け合いもスリリングで、見ごたえ聴きごたえたっぷりのひと幕でした。

 東日本大震災からの復興を願ったタイトル「ルネッサンス」を受け、第二部の最後は岩手県民謡「南部牛追唄」〜福島県民謡「新相馬節」〜宮城県民謡「大漁唄い込み」の東北地方の民謡メドレー。若手とはいえ芸歴の長い郷みん’Sのメンバーが繰り出す生の唄、和楽器の迫力に惹きこまれて、観客の手拍子は最高潮に達します。

 青森県民謡「津軽よされ節」は渾身の力を振り絞った津軽三味線と唄・太鼓をバックに、タスキと紙ふぶきを駆使した奏貴さんの華やかな舞踊。サウンド、ビジュアルの両面で楽しませる郷みん’Sらしいラスト・ナンバーとなり、早くも観客からはアンコールの歓声と手拍子。アンコールは「南部俵つみ唄」。速いテンポで繰り出される圧倒的な演奏にステージと観客席が一体となり、大いに盛り上がりました。

 2008年3月のデビューから約6年となった郷みん’S。さらなる充実ぶりに目を見張る、素晴らしいステージとなりました。

関連作品

うたまいルネッサンス

VZCG-783(CD)1,905円+税
2013年9月18日 発売 
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郷みん'S ふる里 虹の懸け橋

VZCG-706(CD)1,524円+税
2009年3月25日 発売 
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プログラム

第一部〜まい〜
  1. 津軽三下り(青森県民謡)
  2. 蝦夷富士の唄(作詞・作曲:須藤隆城/北海道民謡)
  3. 道南口説(北海道民謡)
  4. 佐渡おけさ〔ぞめき、選鉱場入り〕(新潟県民謡)
  5. おてもやん(熊本県民謡)〜男なら(山口県民謡)〜久留米のそろばん踊り(福岡県民謡)
  6. 大洗甚句〔磯節入り〕
  7. 津軽じょんから節 旧節〜中節〜新節〔曲弾き〕(青森県民謡)
  8. 黒田武士〔吟詠・浪曲入り〕(福岡県民謡)
第二部〜うた〜
  1. 八木節〜郷みん’Sバージョン〜(群馬県民謡/補作詞:郷みん’S)
  2. 神津節(東京都民謡)
  3. 竹田の子守唄(京都府民謡)
  4. ヤマタノオロチ(八岐大蛇)〜真バージョン〜(オリジナル)
  5. 南部牛追唄(岩手県民謡)〜新相馬節(福島県民謡)〜大漁唄い込み(宮城県民謡)
  6. 津軽よされ節(青森県民謡)
アンコール

南部俵つみ唄(青森県民謡)

唄・太鼓・三味線 おもだか秋子
津軽三味線・唄  椿 正範
舞踊・和太鼓・唄 松浦奏貴
尺八・笛     米谷和修

プロフィール

おもだか秋子(おもだかあきこ/唄)埼玉県川越市出身

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1985年生まれ。1987年、2歳で初舞台を踏み、同年、隆章会〔宗家=柴田隆章(現日本郷土民謡協会理事長)〕に入会。唄・津軽三味線を柴田隆章師に、太鼓・ 三味線を母=多田隆章次師に師事。子供時代に数々の大会に挑み、日本郷土民謡協会少年少女大会では3歳で特別賞の後、小学生の部、中学生の部、高校生の部 で優勝、各地の少年少女大会にも赴き優勝を飾る。中学生より津軽三味線を名手・澤田勝秋師に師事し、津軽三味線全国大会でも女性の部優勝など数々の受賞歴 を持つ。日本郷土民謡協会春季大会チャンピオンの部総合優勝を機に、2003年、ビクターからアルバム「若い民謡」でデビュー。NHK-FM「年の瀬民謡 スペシャル」に小学校6年生で初出演以降、NHKのラジオ、テレビ番組にも出演多数。2006年、アルバム「若い民謡2nd.」リリース。2011年3 月、師匠・澤田勝秋師らと共に国際交流基金ロシア公演に参加、4都市5公演。同年11月、3枚目のソロアルバム「民謡(うた)の道」をリリース。現在、民 謡の唄に留まらず、三味線(太棹・細棹)、沖縄三線等、民謡マルチプレーヤーとして活躍中。

椿 正範(つばき まさのり/津軽三味線)福岡県北九州市出身

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1981 年生まれ。1993年、橋本泰宏師に師事。1999年上京後、川崎マサ子師・椿真二師に師事し内弟子修行に入る。2000年、民謡の店「浅草追分」の専属 伴奏者となる。2004年、津軽三味線全国大会優勝。津軽三味線椿流師範襲名。2008年、アラブ首長国連邦ドバイ初の日系ホテルオープンに際し、オープニングセレモニーで演奏。同年、有限責任中間法人日本郷土民謡協会公認指導員取得、有功賞受賞。2009年、橋幸夫全国20ヵ所ツアーに参加。津軽三味線 椿流皆伝大師範襲名。2010年、国際交流基金主催 アフリカ2ヵ国(コートジボアール、ガボン)公演。2011年、浅草公会堂にて「津軽三味線・椿正範20周年記念コンサート 糸〜椿祭」を開催。同年、国際交流推進団参として、インド・スリランカ公演を行う。2012年、一般財団法人日本郷土民謡協会より公認教師取得。現在、テレビ・ラジオ、全国の舞台にて活躍中。

松浦奏貴(まつうらそうき/舞踊)東京都葛飾区出身

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1984年生まれ。父方祖父は二代目小林照玉(唄・三味線演奏家)、母方祖父は松浦森勝(舞踊家・演出家)。1985年、満1歳にて日本武道館で初舞台。以来、民謡民舞の大会で子スズメ会創始者松浦森勝の後継者として団体民舞の中心となり、内閣総理大臣賞3回、文部科学大臣賞3回、参議院議長賞3回。全国子供大会 では民謡も唄う。2010年、芸歴25周年に際し「みんようへありがとう」と題し、江戸東京博物館ホールにて松浦奏貴ショーを開催。2012年、浅草公会堂にて「松浦奏貴リサイタル」を開催。現在、子スズメ会四世、一般財団法人日本郷土民謡協会公認教授、一般社団法人みらいみんよう舞踊部代表、一般社団法人みらいみんようU-30代表。現在、テレビ・ラジオ、全国の舞台にて活躍中。

米谷和修(よねや わしゅう/尺八・笛)

1963年、福岡県八女市出身(本名/中村和義)。19歳より尺八を始める。渡辺鈴士氏に尺八の手ほどきを受けた後、民謡界の重鎮、米谷威和男氏に師事。1991年、第37期NHK邦楽技能者育成会に入会と同時に上京し米谷威和男氏の内弟子となる。以来、常に米谷会の中心に居て活動し、代稽古 民謡誌への執筆 楽譜発行に関わると共に、幾多のテレビ ラジオ番組に尺八 笛奏者として出演し活躍している。米谷威和男氏他界の後は、尺八奏法全般を宮田耕八朗氏に師事。2008年からは、海童道祖(わたづみどうそ)横山勝也の流れを汲む古典本曲を素川欣也氏に師事し研鑽している。テレビ出演の他、レコーディング、ステージ、更には海外公演も多い。日中韓の民族楽器で構成された「オーケストラ アジア」/邦楽アンサンブル「昴」のメンバー。

(記事公開日:2013年12月19日)